
強い刺激がよく効く?!
一般的に「強い刺激、施術」=「効く」というイメージがあるかも知れませんが、これは私の経験や知識から、「脳のメカニズムが引き起こす大きな勘違い」ではないかという答えが出ました。
皮膚や筋肉に、強いマッサージのような大きな刺激が加わると、組織が破壊されます。情報は痛みの信号として脳に届きます。
脳はβーエンドルフィンなどの「麻薬のような物質」を分泌して痛みの情報を遮断しようとします。
この「麻薬のような」物質は、鎮痛作用の他に「痛気持ちいい」という快楽をもたらします。
「痛気持ちよさ」を求めて刺激は強くなりがちですが、その分皮膚や筋肉が破壊されていくのです。
強いマッサージを受けた後、ダルかったり、痛みが残る、いわゆる「揉み返し」と言われる現象が起こるのはこのためなのです。
つまり、強い刺激は脳を麻痺させ、一時的に痛みは解消されますが、患部はダメージを受けるため、治りはかえって遅くなるということになります。
鍼(はり)は効果的な技術

病院の検査では異常が見られないのに、症状が出ているほとんどのケースは、体の動きの不具合からくる負担の蓄積が大半です。
不具合を生み出しているのは、患部から離れた箇所にある数ミリの筋緊張(ツボ)です。
この緊張に鍼をして緩めると、動きの歪みがすぐに解消し、症状が軽減します。
数ミリの箇所への小さな刺激が、体の動きを整え、症状を根本から改善するのです。
この小さな緊張を正確に緩めるのには、鍼が最も適しています。
体の動きを整えることで症状を改善する事を整動(せいどう)と言います。
そしてその鍼の治療法を整動鍼といいます。
整動鍼がもっとも重要としているのが「筋肉の連動」です。
身体は個々の筋肉が個別に働くわけではなく、連動することで特定の動作を生み出します。
たとえば、歩行時に、大腿四頭筋と腓腹筋を順番に収縮させる意識を持つでしょうか?
少なくとも歩行にそのような意識は必要ないでしょう。
基本的な連動パターンはみんな同じです。
痛みを伴う多くの運動器疾患では、この連動パターンに狂いが生じています。
整動鍼の基本的な発想は、この連動パターンを取り戻す事になります。
連動を整え身体の動きを滑らかにする事で、痛みなどの症状を解決していきます。
当院の鍼が体に与える刺激量はわずかです。刺激量が少なければ、体への負担が少なく回復が早まります。
そして、身体の動きを整えるため、「身体の動きの不具合を起こしている箇所」に鍼をしていきます。
最後に
気持ち良いことと症状の根本改善は別問題です。
最初にお話した、「揉む」ことで症状が悪化することもあるということが、非常に多いという事を知っていただきたいのです。
(なので、マッサージを否定しているわけではないです)


